2005年7月17日
人間って、言葉を自由に操る能力と引き替えに、 コミュニケーション能力を失ったのではないかと思う。 言葉を過信して、本当に通じ合うためのすべを失ったというべきか。
というわけで、またもや公開初日のレイトショウで観てきました。
実話に基づく話なので、テーマをどうこう云うものではないと思うのですが、 敢えて云うなら「コミュニケーション」でしょう。 親子(特に母と息子)のコミュニケーション、 人間と象のコミュニケーション。
大学生だった頃、いや、高校生の時かな、 人とのコミュニケーションについて考えたことがあります。 言葉なんて伝えたいことをサンプリングしたものにすぎない。 だから、言葉の限りを尽くして「言葉」の周辺に漂う本当の意味を伝えよう。 そうして言葉と言葉のあいだに存在する意味が伝わるようになったとき、 最小限の言葉で最大限のコミュニケーションを生み出せるはずだ。 この映画は数十年前の、そんな考えを思い出させてくれました。 言葉をどれだけ尽くしても伝わらないことがあるけど、 言葉が無くても伝わることがあるよね、やっぱり。 ラストで佐緖里が云う「あの子のこと、ぜんぜんわかってなかった」という台詞、 でも実は十分に伝わってたからこそ生き方を認めることができるし、 テツが佐緖里の想いを十分に理解することもできたのでしょう。
さて、それ以外のところでは。 まず、注目の柳楽優弥くんですが、実際に観てみてカンヌを納得しました。 観るものが吸い込まれるような魅力。 それは芝居がどうこうではなく、彼が先天的に持ち合わせたものでしょう。 どうかこの眼のまま、すばらしい俳優になってほしいと思います。 それから、音楽。 教授の音楽ってことも見どころというか聞き所だと思いますが、 映像に溶け込んで意識させないような、 でも着実に映像を後押しするような、そんな音楽でした。 邪魔しないからストーリーに集中できる、 でも今、サントラを聴くとストーリーが鮮やかによみがえるに違いない。 さすがのひと言です。
というわけで、時間があれば是非とも観にいってください。 ハンカチをお忘れなきよう。